一筋の涙

沢山の写真が並べられた中でこの写真は一際、美しく輝いていました。どんなに美しい花を写しても奇麗な花には見えるのですが、美しい花には残念ながらならないことの方が多いのが事実です。このどこにでもある案山子を美しく感じさせてくれたのは花が自然の摂理で咲くからこそ美しいのと同じように、案山子の内に精神的な力を発見して作品へと昇華したからです。写し出された面相は暗黒の闇に通ずる目をもった能面のようであり、また異国の表裏ひとつになった仮面のようです。この能面には日本人の無常感と憂いが感じられ、また仮面には紅をさしたピエロのようなペーソスとユーモアさえも感じさせてくれます。
作者は禁欲的に余分なものをそぎ落として一片の木から畑の片隅の案山子を慈母観音のように彫り出して見せてくれました。一見力強い写真にはとかくレンズワークなどで押しつけがましく声高になりがちですが、この方は何を見、何を伝えたいのか、そのことだけに徹した作家性があったからこそ見る者を魅き付けてやまない作品が誕生したのだと思います。

【評:平井 純】

モヤの朝

タイトルの通り「モヤの朝」を切り撮った1枚ですが、作者がどの様な思いでシャッターを切ったのか想像してみました。場所の記述は無いが映っている風景から特段人気のある場所というより、身近に存在する作者のお気に入りスポットではないかと推察します。ある日の早朝、通いなれた田園風景の中にぽつりと背高い森林のスポットに何がしかを期待して出かけ「モヤの朝」に出くわしチャンスとばかりにシャッターを切ったのではないでしょうか。作品を見てモネの輪郭をぼかした絵画を思い浮かべました。何気ない風景にモヤがかかる事で幻想的な風景に様変わる。作者は有名なスポットに行かなくても身近にある風景に条件が加われば素晴らしい作品になる事を知っているのでしょう。これからも、このスタイルを続けて欲しいと願っています。あえて言うなら、もっと沢山の作品を見せて欲しかった。

【評:奥村よしひろ】

ハート雲

とても楽しい写真で、見るとついニッコリしてしまう明るさがあります。変な理屈はいらず、とにかく楽しい写真です。パソコンでの画像処理なのか、スマホでこういう加工ができるアプリを使用しているのかはわかりません。このポーズで撮っているということは、最初からこのような写真が作れるアプリで撮ったのかもしれませんね。 そういった加工の面白さに目がいってしまいますが、それだけではなく、海と真っ青な空は実に爽やかです。仮にこのハートや周りのキラキラが無く、この被写体2人が楽しそうにはしゃいでいてもいい写真になると思います。この場にはそれだけの力があります。そのような場の力と、ハートやキラキラの技術的なこと、被写体二人がこのポーズで撮るように決めた構成力、すべてが相まってこの作品が作り出されています。
ニューフォト賞は、これまでの写真の概念を壊してくれる作品に対して贈られます。こんな写真ありなのかと言われれば、ありです。画像処理や加工をしているとダメということはありません。これもまた写真です。

【評:伊藤圭】

睡蓮と日傘の女性

見れば見るほどに日常的な睡蓮のある景色から不思議な幻想的な世界へと連れ込まれてしまいます。池に映り込んだ黒い木々や女性の映り込みによって写真に奥行きが出て立体的になったため睡蓮と共に開いた日傘も花のように浮遊しているようです。睡蓮も女性も傘も木立も他の物全てが混沌としてカオスのようになったこの場所で作者はカメラを目にして遊んでいるのかもしれません。この作者のユーモラスなトボケた又どこかシニカルな物の見方、発見する力は何よりも変えがたいものです。どうかこの目を大事にされ、ご自分の道をひたすら歩まれれば写真が楽しくてたまらなくなります。

【評:平井 純】

ナイスターン

何と気持ち良く日本の猛暑を吹き飛ばしてくれる作品でしょうか。グリーンの波、紺碧の海、青い空を背景に日焼けしたサーファーが波のリズムに乗りしぶきを空高く舞い上げる様はブラボーの一言に尽きます。
計算して撮れるものではなく、作者は写真が大好きなのでしょう。興味ある被写体に喜んでシャッターを切っているリズムが伝わって来ます。筆者も日本を抜け出して南国の島で波と戯れたい!
他の応募作品にも素晴らしいものがありました。センスの良さを感じさせる作品群でした。

【評:奥村よしひろ】

安堵の鼾

花輪麗さんの犬の名前は分かりませんが、家族同然の愛犬が『安堵の鼾』に見つめる眼差しの優しさと愛情に満ちた視線が素晴らしく、特選に選ばせていただきました。
愛犬の作品は合わせて4枚ありました。公園を散歩しているなどでしたが、そこに映っている愛犬はやせ細っていて明日にも命が絶えそうな姿でした。おそらく作者はその事を分かっていて連作の応募になったのだと思われます。それ故、単写真の審査でありながら組み写真を見ている印象になりました。その経過を踏まえて「安堵の鼾」を見つめるとさらに味わい深い作品となりました。

【評:雨宮ゆき】

青梅大祭宵宮

青梅大祭の写真ですね。この写真はテクニックを駆使して撮られていて、かなりハイレベルな写真だと思います。
1.一脚や三脚を伸ばした状態で山車に乗っている人よりも高い位置から撮られています。ファインダーや液晶で構図が確認できないため、構図が決まりにくいです。
2.魚眼、又はかなりの広角で接近して撮っているために、迫力があります。
3.夕刻に撮っているので、照明がいい雰囲気を作り出しています。
また、囃子連の方々の表情がいいですね。祭りを心から楽しんでいる様子が伝わってきます。祭りの熱い盛り上がりを感じさせてくれる、素晴らしい写真です。

【評:伊藤圭】

激しいおどり

まずフォトカジェー展が企画した「ベリーダンス」の写真をコンテストに応募頂き感謝致します。フラメンコもそうですが舞台写真は撮影場所も制限を受けるし、繰り返しがきかない一発勝負になります。それらを考慮し審査に当っているつもりです。その中にあってこの作品はベリーダンスの雰囲気が良く出ています。回を重ねて撮るうちにコツも判ってきます。舞台写真は芸術作品へと昇華する要素を持っています。挑戦を続けてさらに上を目指して下さい。今年も企画しています。

【評:奥村よしひろ】

はじける青春


睡蓮と鯉


怒涛


吹上しょうぶ園のざわめき


夕暮れの寄り道


夏のはじまり


窓ガラスに映る秋


つた映える頃


54年ぶりの初冠雪


別れの挨拶


かかしとフラダンス


甲斐駒ケ岳(仙丈岳より)


富岳三段


曙光


バトンタッチ


まご・大の字


Annabelle


初冠雪の羊蹄山


羊飼いの朝


大丈夫私たちなら乗り越えられる」


怪獣出現


Butterfly


桜 満開!


祝・卒寿


んべっ!


常夏


やすらぎ


代わらないもの


時の踏み跡


看板娘(ほうづき市)


梅まつり阿波おどり

願い


試し撮り


ちいさな踊り子


何かみえるの!?



太陽に背を向けて


気になる眺めー飯田橋ー


さくら狩り


雨上がりの舞台へ


長い坂


GINZA JAPAN


厳冬の標津港


街人


睡蓮の敷物


明治神宮

湿地


昭和遥か(森日出夫展より)


青梅仲通り